みちのくツアー2007

青森県立美術館 (MAP)  5日目 2007.1.5

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■ とある小学校 ■2007年1月5日 (晴)

10時起床、朝食を簡単に済ませた後、今日は昨年完成した青森県立美術館を見学することにする。すぐにバスに乗るのも芸がないので、しばらく歩く。途中小学校の前を通過する。すると今時なんと無防備な門構えというか門らしいものがない。雪が降ると門の開閉が出来なくからとかが理由なのだろうか。昨今の事件等を考えると、大らかな無防備さだ。しかし、これが本来の小学校の姿のような気もするのだが・・・。


■ 蔵 ■

  堤川にかかる橋を渡り、しばらく川沿いの道を歩く。いつもの冬ならば、すれ違うようにして歩いた道であるが、雪がないとこんなにも広いものなのか。聞いたところによると、かつてはこの堤川沿いには市場が結構あったらしい。その名残のような市場は一軒ほどしか見当たらなかった。けれでも角館にあったとような由緒ありそうな蔵ではないが、ポツンと蔵が建っている。かつての繁栄の名残であろうか。


■ バス停到着 ■

  しばらく歩くと国道4号線の交差点にぶつかる。交差点を左折して5分ほどで国道沿いのバス停に到着する。バス停の券売所で県立美術館行きのバス路線について尋ねてみる。どうやら国道沿いに美術館に直行するバスはなく、一旦青森駅に出てからバスを乗り換えないと行けないらしい。しばし駅まで行くバスを待つこととする。


■ 百足競争 ■

  なにげなくバス停付近にある雑貨店をウィンドウショッピングすると、そこには超ローカルなブツが。この「運動会百足競争用細引」とは何だろう。何か特別仕様の細引きなのだろうか、毎日売れる需要があるとは思えないが、この周辺では何故か毎週のように運動会があり、かつ百足競争が必ず行われるという習慣があるのかも知れない。


■ 恐山大祭 ■

  そして、その右隣には「恐山大祭・棟上げ用 ワラゾーリ・ワラジ・麻」という札が、恐山とは知る人ぞ知る、20年以上前に某3名と下北半島ツアーで行った場所ではないか、賽の河原に隣接する湖畔で勝手にキャンプしたことを思い出してしまった。真夏であったので、夜にビールを浴びるほど飲み、深夜誰もいない木造の温泉につかり、ワイルドセブンねたで話がループしていたこと等を走馬灯のように思い出す。見れば見るほど謎がおおいブツだ。恐山大祭用のワラゾーリ、何か特別仕様のゾーリなのか。ワラゾーリとワラジの違いは何?そして麻とは?謎が謎を呼ぶ。


■ 美術館に到着 ■

  脳内アドレナリン、エンドルフィン(うろ覚えの言葉を並べてみました)が増幅した状態でバスに乗る。10分ほどで青森駅に到着し、免許センター行きのバスに乗り換える。20分ほどで三内丸山遺跡前バス停に到着する。数人ほど降り立ったが、そのバス停に数分立ちどまり、青森県立美術館行きの無料シャトルバスに乗車したのは僕一人だけであった。どうもシャトルバスの周知がよくないようだ。ただその乗車時間は1〜2分と短いものであったが・・・。無料シャトルバスを使用しなかった人たちを追い越して美術館に到着する。


■ アレコホールへの道 ■

  去年7月にオープンしただけあって建物は非常に真新しい感じだ。正月という時期もあるのだろうが、それほど混雑してはいなかった。荷物をクロークで預かってもらい切符を購入し美術館に入場する。入場してすぐにエレベータで地階に向かう、地階から見学するのがこの美術館の順路らしい。エレベーターをおりてドアを開けると広い吹き抜けのホールが現れる。マルク・シャガールの作品、バレエ「アレコ」の背景画を置くために作られたアレコホールだ。


■ アレコの背景画 ■

  ホールの広さは30×30m、ホール壁面の高さが10メートル程度だろうか。その壁面に巨大な縦約9メートル、横約15メートルの舞台の背景画が4枚展示されている(※1)。第一幕《月光のアレコとゼンフィラ》、第二幕《カーニヴァル》、第三幕《ある夏の午後の麦畑》、第四幕《サンクトペテルブルクの幻想》という劇に対応した背景画である。
※1:CGですがイメージをつかむために以下のページの上の部分を参考にして下さい。
http://www.aomori-museum.jp/ja/collection/brief.html#marc


■ 大きいことはいい事だ ■

  とにかく大きさに圧倒される。大胆な色彩と物語性を暗示するモチーフが絵の随所にちりばめられたような感じだ。シャガールのこの作品は何十年か前も美術本で見た記憶があり、その当時はそれほど印象深いものには感じなかったが。現物を見るとまるで印象が違う。大きさと美しさとには関連があることを実感する。大きいことはいい事か、ちょっと違うか。さすがにこの美術館の目玉にしようとしただけのことはあると思う。しかし4枚全部は購入できなかったようで、1枚はアメリカのフィラデルフィア美術館から借用しているらしい。あと数日で返却する予定であったという。4枚全部見れた自分は結構ラッキーだったようだ。


■ 解説サービスに夢ウツツ ■

  ホール中央でボランティアらしき解説員の女性がイスにすわった客に絵の説明をしてくれるサービスがある。声にちょっと津軽なまりがあって耳に心地よい。聞いているうちに館内の暖房のせいもあってか途中ウツラウツラとなる。夢の中で聞いた部分を2度目の解説で補う。


■ 奈良美智(なら・よしとも)とは? ■

  シャガールに余韻を残しつつ。もう一つの目玉である奈良美智(なら・よしとも)のコーナーへと向かう。若い世代に人気のアーティストだ。つり目の怒ったような表情をした少女の絵や、それと対極の穏やかで、見ようによっては哲学的な表情の犬の絵で知られている。後で本でちょっと調べたところ、キャラクターの取り扱い方でディックブルーナの影響を受けていると指摘する美術批評家もいるという。その本によれば彼は絵とかオブジェだけに執着しているわけでなく映像にも興味があるとの話だ。彼はインタビューの中で自身がパンクムーブメントの影響を受けていると語っている。絵のところどころにある反抗的な、社会的なメッセージの部分(作品の中でNo Nukesとかの叫びがあったりする)はその辺から来ているのだろう。そして、彼のプロフィールを見てみると僕と同じ高校の2つ後輩であるらしい。あまり縦の関係のある高校ではないので、彼のことはまるで知らなかったが、ちょっとした驚きであった。


■ あおもり犬に癒された ■

  彼の様々なオブジェを見た後、この美術館のもう一つの目玉である巨大な白い犬のオブジェのコーナーに移動する。犬の名前は公募により、あおもり犬という名前がつけられている(※2)。高さは約9メートル、たれた耳と遠くを見る穏やかな目線が人の気持ちを優しくしてくれるような気がする。
※2:あおもり犬のパノラマ画像が以下のサイトで見ることができます。
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/aomorimuseum/360/360_9.html


■ 青森県出身の表現者たち ■

  そのあと他の作家のブースも見学する。版画で有名であるが絵画も中々味のある棟方志功、考現学というジャンルの祖となった今和次郎・純三兄弟、彼らは関東大震災の時にひたすら人間模様のスケッチをとっていたという。そして成田亨(なりた・とおる 1929-2002)がいた。「ウルトラQ」、「ウルトラマン」、「ウルトラセブン」等のヒーロー、怪獣のデザインを手がけた人だ。青森県出身の人であるとは知らなかった。ひょっとすると彼がいなければウルトラマン、ウルトラセブン、エレキング、カネゴン、ガラモン、ケムラー、ジャミラ、ゼットン等々を我々は見ることが出来なかったのかもしれない。そして戦場カメラマン澤田教一(さわだ・きょういち 1936〜1970)、寺山修二も青森県出身である。


■ 夢から現へ ■

  美術館の中で時間を忘れて鑑賞していたが、そろそろ夢から現実へともどらないといけない。クロークで荷物を受け取り美術館を去ることにする。シャトルバスではなく、今度は徒歩でバス停まで戻る。バス停につく頃には日もかなり暗くなり、暮れようとする青空に映える飛行機雲に目を奪われつつバスに乗る。家に戻り、今日の美術館の印象を反芻する。良き一日であった。


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